スリランカのお受験と英語教育

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moorスリランカの友人宅に滞在したときに驚いたのが、子供達への英語教育熱の高さ。友人宅の子供たちが最初に覚えるのは両親の母国語であるタミール語でもなければ、スリランカで一番話されているシンハラ語でもなく英語なのです。
ムスリムである親同士で話すときにはもちろん自分たちが一番得意のタミール語。そこにひとたび子供が会話に加わると一家の会話は英語に変わります。どうしてそこまで徹底しているのか、驚きと残念さが混じった気持ちで聞くと、子供たちを最終的にはイギリスの大学へ行かせたいのが理由とか。

丁度滞在していたその日は丁度インターナショナルスクールのお受験の日。両親ともどもお受験用に身なりと整え、奥さんは前日着ていたカラフルなサリーから一転、真っ黒な装いにヒジャブ(ベール)姿。
試験に受かるためには子供の能力だけではなく、家系や両親や兄弟姉妹の出身校など、他の要素の評価も大きいとのことでした。

スリランカ国内での大学進学はわずか2.5%の狭き門。ならば最初から海外の大学を目指すべく英才教育をしていたのは、この滞在した家庭だけではなく、別の家庭(やはりムスリム)も同様でした。

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さて、スリランカでの文学というのはあまり馴染みがないかともいますが、国を代表する近代作家として一人マーティン・ウィクラマシンハ(1890-1976)が挙げられます。

  • 第一部 変わりゆく村
  • 第二部 変革の時代
  • 第三部 時の終焉

3部作を通じて、一家族の親の時代から子供、孫へと時代が変わっていきます。
作品の中でたびたび登場するのがカーストの驕り」「黒い白人」という言葉です。
小説の舞台は南部のコッガラ。悪魔祓いや黒魔術、寺参りやカートストへのこだわりなど、古くからの因習や文化が残っている町での人間模様が、その時代ごとの社会的な背景とともに魅力的に描かれています。

第一部「変わりゆく村」では、コッガラの裕福な家庭が崩壊していく過程で、「カーストの驕り」を感じながらも結果的には経済的な理由もあり、自分よりも低いカーストの男性と結婚。裕福な家庭なので英語教育はうけているものの、シンハラ語での生活をしています。

第二部の「変革の時代」ではイギリスからのわが子が書いた英語の手紙を、母親がシンハラ語に訳してもらって理解する場面からスタートします。将来を約束されていた優秀な長男ですが、親との価値観の違いに苦悩し、反発しながらバーガーと結婚しイギリスに移住。事業に成功し裕福な生活をしながらもかみ合わない家族を描いています。
変革の時代に入ると子供の世代はシンハラ語での読み書きがあやしくなってきます。

第三部「時の終焉」では資産階級にのし上がった孫の時代。スリランカに生まれながらも西洋の文化に浸っているのを「黒い白人」とたびたび揶揄します。
「服装や話し方まで真似ようとする褐色の肌をした人間の姿を目の当たりにする宗主国の英国人は、この国の人間にたいして冷ややかな感情を抱いている。でなければ見下している」

「君は今、”黒い白人”になろうとしている」

「・・・いいかね、村の金持ちはシンハラ語で話す。それは貧しい人間の話す言葉だ。」
と第三部の主人公である孫の世代が語ります。そして対立は世代間だけにとどまらず、労働者と資本家にまで波及していきます。

この3部作にはかなりのボリュームであるにもかかわらず、一度読み始めたら止まらない、なんとも言えない魅力があります。
それはマーティン・ウィクラマシンハの生き生きとした描写と登場人物の特徴をよくとらえた会話。半世紀をスリランカ文学と言語に捧げた、野口忠司さんの素晴らしい日本訳。そしてこの作品が書かれた時の時代背景にあります。

スリランカがイギリス統治下にあったのが1796年から1948年で、1956年には「Sinhala Only Act」で国の公用語を英語からシンハラ語に変更する法案が施行されます。このことがその後新半世紀にわたって続く、シンハラ人とタミル人の対立を引き起こしたといわれています。その2年後には「Sinhala Only, Tamil Also」として公用語にタミール語が追加する法案が可決。ポルトガル、オランダ、そしてイギリスと続いた植民地支配が終了したことで、今まで長年の間衰退していたシンハラ語が盛り返していきます。この激動の時代にマーティン・ウィクラマシンハは生きていたのです。
このような社会的な背景のなかで起こるドラマが3部作で描かれているのです。

最後にマーティン・ウィクラマシンハの3部作に興味をもたれた方に2つの良いニュースです。
1つは3部作のうち2つ、変革の時代と時の終焉が大同生命国際文化基金のWEBサイトよりダウンロードすれば今すぐ読めます!

2つめは、この3部作はすべて映画化されていて、福岡市総合図書館の映像ライブラリーに保存されているそうです。

(上記でライブラリーの検索をかけましたが現在リンク切れになっています)


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2013年3月28日



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